お姫様の作り方
「あと、俺を俺として見てくれるだろうなって思った。だから落ちたんだと思う。」

「あのー…落ちたって…?」

「それ説明する前に名前教えろ。」

「あ、そ、そっか!えっと、会田舞です。」

「マイ…か。どういう字?」

「舞踏会の最初の字だよ。」

「…そこで舞うとかで言わないところがらしいな。」

「え、だ、だって間違ってないもん。」

「いや、そーじゃねぇよ。ってまいっか。そこが重要なわけじゃねぇ。じゃー舞。」

「は、はい!」


突然名前を呼ばれて背筋に緊張が走って、思わずピンと背中が伸びる。


「…なんでいきなり背筋伸びてんだよ。」

「だ、だって初めて名前呼ばれたから…。」

「あっそ。じゃあ分かりやすく教えてやる。」

「お、お願いします…。」


あたしがそう言うと、優馬くんがあたしの左腕の方に右手をついて、ぐっと距離を詰めてきた。
優馬くんの口が、あたしの耳元にすっと寄せられた。





「…一目惚れしたんだよ、舞に。
つまり、好きってこと。」

「…っ…。」





鏡なんて見なくても分かる。…顔が熱い。多分、あたしの顔はポストみたいに真っ赤だ。

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