お姫様の作り方
足にそっと手が添えられて、そのまますぽっと足がローファーに収まった。


「ぴったり。」

「…か、かなり恥ずかしいけど…でもちょっと嬉しいかも…。」

「じゃあ反対も。」

「い、いいよっ!片方で充分だよ!」

「今更片方も両方も変わんねーよ。いいから、足。」

「…っ…。」


もう片方の足もぴったり収まり、あたしに靴が戻ってきた。ガラスの靴ではないけれど、でも今のあたしには充分キラキラして見えるから不思議だ。


「さて、…んじゃあ帰るか。」

「く、暗くなって来たもんね。」

「あ、舞。」

「な…。」


何?と言いたかったのに、上手く『に』を言えなかった。
それは突然、おでこに優馬くんの唇が触れたから。


ちゅっという甘い響きを残して、柔らかい唇がそっとあたしのおでこから離れる。


「っ…な、ななな何をっ…。」

「何って、おでこにちゅー?」

「そ、そのまんま!」

「だってそのまんまだし。なんかしたくなったから。」

「そんな理由で!」

「ココは…。」


すっとあたしの唇に優馬くんの右手の人差し指が当てられた。
突然のことにあたしは思わず後ずさる。


「舞が好きって言ってくれたら、な?」

「~っ…!」


*fin*

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