お姫様の作り方
* * *


「真鈴、おっはよー!」

「おはよう。」

「会田さん、おはよう。」

「おはよう。川島さん。」

「あー!まーた本持ってるー!学年一の秀才は学年一の読書家だよねーほんと。」

「そんなことないわ。」

「そんなことあるよー!あ、そだ!数学の宿題、分かんないところがあったから教えてくれる?」

「もちろん。どこ?」

「えっとねー78ページの…。」


私はカバンから眼鏡ケースを取り出し、眼鏡をかけた。朝の読書の時以外は(つまり授業中はずっと)眼鏡をかけている。
朝、こうして友人に宿題を教えることも、たくさんの人に挨拶をされることも、全てがいつもと同じだ。
いつもと同じ朝。いつもと同じ人たちが私を取り囲んでいる。


「真鈴は美人で頭も良くて…ほんっと完璧だよね。」

「…そう、かなぁ…。自分ではそうは思わないけど。」


完璧だなんてそんなことは思わない。
…もっと、楽しいことが待っていてほしい。そんなことをぼんやりと思ってしまう。
変わらない毎日もそれなりに楽しいけれど、でも、それが全てだとは思いたくない。


…何かが待っている。ワクワクしたり、ドキドキしたりする何かが、きっと、私を。


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