お姫様の作り方
* * *


「会田さん、ばいばーい!」

「真鈴、バイバイっ!」

「うん。また明日ね。」


みんなが次々と部活に向かう中、私はいつも少し教室に残って宿題をこなす。家で勉強するのはあまり好きじゃない。家ではゆっくり本を読みたい。


かれこれ1時間ほど勉強して、明日の予習と宿題は片付いた。明日はあまり予習が必要な教科がないから比較的楽だ。


11月の末ともなると暗くなるのは早い。今日ももうかなり暗くなってしまった。


「…帰ろう。」


眼鏡を外し、コートを羽織ってマフラーを巻いて、それから手袋をする。
寒いのは苦手でこれだけ着込んでも、防寒対策をしても寒いものは寒い。


外に出て息を少しだけ吐くと、真っ白に染まるほどに冷たい空気。それがほっぺに当たるとキーンとして身体の芯から冷えてくる。


あ、そういえば最近本屋さんに行っていない。…少し寒いけれど、新しい本を見ておきたい気もする。次に読む本の目星もつけたい。そう思って本屋に足をのばすことにした。


いつもと同じ帰り道ではない道を通る。
…だから、いつもとは違うことが起こってしまう。





「君、一人?俺らと遊ばない?」





見たこともない制服の、私よりもはるかに背の高い男の人が二人。
…背中がぞくっとした。

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