お姫様の作り方
「え、っと…本屋さんに行くところなので…。」

「そんなのいーじゃん。本なんかよりもっと楽しいこと知ってるよ?」

「たまには遊ばないとー。」


体つきが大きい方の男の人の腕が、私の肩に回った。力が思っていたよりもずっと強くて振りほどくことができない。


「っ…やめてください!私は本屋に…!」

「いーっていーってそんなの。君、めちゃくちゃ可愛いし、好みなんだよねー。彼女になんない?」

「なっ…!」

「あーずりーぞ!俺が先に目つけたんだからな!」

「っ…私は誰とも付き合いません!彼女になんてならない!離してください!」


身体中の力を振り絞って、思いっきり腕を振り払った。
…なんとか成功したけれど、いきなり目の前の二人の顔つきが険悪なものに変わった。


「…痛いんですけど?」

「なになにー?意外と気、強かったりしちゃうわけ?」


表情が険悪さを通り越えた。ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべている。


「俺、従順な子の方が好みなんすけどー。」

「俺は結構気強い子も好きだからやっぱこの子がいいな。」


パッと腕を掴まれて、強く引かれる。手加減されていないその強さに、身体がぐらついた。


「っ…!」


転ぶ。そう思った瞬間、腰がぐいっと引かれ、身体が少しだけふわりと浮いた気がした。

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