お姫様の作り方
「…俺がいくと、お前が迷惑する。」

「…しない…けど?」

「するんだよ。」

「どうして?」

「どうしてって…俺がこんなんだから。」

「こんなんって…何?」

「…お前、俺が学校で何て呼ばれてるか知らねぇのか?」

「知らないし、興味もないわ。」

「は…?」


彼が間抜けな返事を返してくる。その表情も何だか間抜けだ。


「そう言えば名前、教えてもらっていなかったわね。教えてくれる?」

「…大神。」

「下の名前は?」

「いるのかよ?」

「私は名前を教えてって言ったのよ?」

「…泰雅。大神泰雅(オオガミタイガ)。」

「ありがとう。」

「…別にいーけど。」

「話、少し戻すけど、泰雅くんが周囲からどのように思われているか、呼ばれているかなんて私、全く興味ないわ。
重要なのは私があなたをどう思って、あなたが私をどう思うか、でしょう?そこに他人の価値観や意志は必要なくて、邪魔なだけ。」


私の言葉にただただ目を丸くする彼を目の前に、おそらく私の表情は何一つ変わっていない。


「えっと…なんでそんな顔…?」

「いやお前…見た目の割に言うんだなって…。」

「見た目の割にって何よ?あなただって見た目の割にしみるのが嫌いとか、子どもっぽいところあるじゃない。」

「それは言わなくていいんだよ!」


少しだけ頬に赤みがさした彼は、…確かに大きいには大きいのだけれど、でもどこか子どもっぽい。

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