お姫様の作り方
「なんか、ここに大神もいて、会田さんと最近仲良くしてるらしいって噂、聞いたんだけど、それって本当?」


…一体この人は誰なんだろう。
それにこの高慢な態度に話し方、…言ってしまえば気に入らない。


「それをあなたに答える必要はないと思います。」

「つれないなぁー。嘘か本当かって訊いてるだけじゃん。」

「だから、嘘でも本当でもあなたにはまったくもって関係のない話だということです。」

「ムキになってるってことは噂、本当って感じだなぁ。
じゃあそんな会田さんに忠告しておいてあげる。」


…さっきから黙って聞いていれば、本当に何様のつもりなんだ。イライラが募って仕方がない。
そもそも私と何の関係もないこの人の忠告を聞く義理はどこにもない。


「忠告なんて必要ありません。必要なことは自分できちんと調べます。」

「大神だけとは付き合わないほうがいいよ。
あいつ、本当に手に負えない奴だし、何人殴って病院送りにしたか分かんないし、それに目つきとかすごい怖いじゃん。なんかヤクザとも繋がってるらしいし、むしろどうして退学にならないのか不思議なくらいで。」


私は自分が震えているのを確かに感じていた。
それでもその震えを抑えて、何とか言葉を吐き出した。


「…どうして私にそんなことを言うんですか?」

「え、だって会田さん、こういう類の話に疎そうだし、会田さんと大神が仲良いとかいう噂聞いたらいてもたってもいられなくてさ。会田さんに何かあってからじゃ遅いし。」


震えは寒さからくるものでも、風邪からくるものでもない。
―――今の震えは確実に、怒りからきている。

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