お姫様の作り方
「私は…私の怒りに任せて怒っただけ…。」

「俺のことを自分のことのように怒ってくれたこと、普通に嬉しかったよ。
…だから、普通に嬉しいって思うから…勘違いしそうになるんだよ。お前の最後の言葉とか…何なんだって話。」

「最後の言葉…？」

「あいつに向かって大切な人って叫んだだろ、お前。」

「あ！叫んだ。」

「…そういうのさ、勘違いしそうになるんだって。」

「…勘違い？」


彼はさっきの表情とは打って変わって、溜め息をついた。


「お前は何気なく話してるだけかもしんねぇけど、でもその一つ一つの言葉はお前が思っている以上に俺、ちゃんと受け止めてるからな。
…だから、大切だとか優しいとか言われると…多分、お前が予想してるよりははるかに嬉しいって思ってるんだって。」

「…私、嘘は言ってない…けど…。」

「分かってるよ。…だから、その真意を訊きたい。」

「真意…。」


彼の視線が真っすぐに刺さる。その視線に動きを止められた私の頬の熱が突然上昇する。
―――こんな顔の彼を、私は絶対に生まれて初めて見る。





「俺を大切だと思ってくれてるのは分かった。
…でもその大切ってどういう意味で大切なんだよ？」

「…と、言いますと？」

「ったくそういうところは鈍いんだな、お前。だろうとは思ってたけど。
…つまりだな、恋愛的要素含み大切っつってんのか、ただ友人として大切だっつってんのかって訊いてるんだよ。」

「っ…れ、恋愛的要素！」


突然飛び出たワードに心臓が跳ねる。…多分、頬の赤さも増しているはずだ。

< 187 / 200 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop