お姫様の作り方
「最初、出会ったときは…色々なことに驚いたけれど、でも嬉しかった。
助けてくれたことも、色んな顔を見れたことも。
しみるのが嫌と言った子どもっぽいところも…こう言ってはあなたは怒るかもしれないけどちょっと可愛いなって思ったし、子どもたちと無邪気に遊ぶ姿も可愛かった。
…そういう姿の一つ一つを、好きだとは思ってる。」

「じゃあ…呪いは半分くらい解かれたんだな。」

「え…?」

「野獣の呪いだよ。野獣は自分を自分だと分かってくれる存在に出会って、恋をして、愛し愛されて呪いを解く。
…だから今は半分。俺は自分を少しだけ好きになれた。…お前が、好きだって言ってくれたから。
お前が好きなものを、俺も…好きになれたらって思うから。」


今まで聞いたどんな声よりも穏やかな、それでいて少しだけ低い声が上の方から響く。
その響きに心が安らいで、落ち着いていくのを感じる。心拍数は確かに早いのだけれど、それとは違う部分では落ち着いてくる。


「…答え、ちゃんと出たら話せよ、ちゃんと。」

「え…っと…は、はい。」


…答え、…それはもう多分、本当は出ている。
たくさんの彼の表情を好きだと思い、隣にいてくれる彼に安らぎを覚える。
これはおそらく、彼がただの友人だからではない。


…とは言え、何と言って返せばいいのかも分からない。
それに私は彼を好きだと言ったけれど(たくさんの意味を込めての好きとしてだけど)、彼は何も言っていない。『出会えて良かった』としか。


「ねぇ。」

「…なんだよ?」

「あなたは…えっとその、私を恋愛的要素を含んで好きだと思ってくれているの?」

「なっ…はぁ!?」


突然彼の顔が真っ赤に染まった。
…自分だってこれに似たような質問を私にしてきたくせに。

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