お姫様の作り方
お姫様たちの舞踏会
* * *
―――そしてあれから1年近くが経ち、今日は10月31日のハロウィン。
【リンゴをたらふく食べれたら】
「いよいよ始まりました!今年の○○祭後夜祭は仮装ダンスパーティー!
我々放送部が個人的に大注目しているカップルを大々的に取り上げますよぉ!
スポットライト係さんは我々の放送にちゃんとついてきてくださいね!」
「ラジャーっす!」
「ではでは大注目カップルナンバー1!あ、これは一番注目しているカップルってわけじゃないですよ?
とにもかくにも紹介が一番最初のカップル、3年の白星雪姫さん、神谷洸くんです!
もちろん仮装は白雪姫と王子様!」
パッとライトがあたしと洸を照らす。…ちょっと!普通に眩しすぎる!
「赤いリボンのついたカチューシャがとってもキュート!それに手に持っているのはリンゴ飴ですかね!?ナイス小物です!
それに王子様である洸くんもばっちり決まっています!さすがナチュラル王子様!」
…いちいち持ってるものまで突っ込まなくていいのに。リンゴ飴、好きなんだから仕方ないじゃない。
「雪姫、何を拗ねているんです?」
「拗ねてないっ!」
「そうですか?なら良いのですが。あ、リンゴ飴も雪姫のことも褒められましたね、今。」
「洸のことのほうがどう考えても褒められてるでしょ。ナチュラル王子様。」
「僕自身は自分をナチュラルに王子様だとは全く思っていませんがね。」
「思ってたら嫌だよ!」
「でも、雪姫の王子としてはナチュラルにありたいと思っていますけど。」
「っ…だから!そういうところがナチュラル王子なんだってば!」
そう言うと、洸はなぜかすっと跪いた。
そしてあたしの手を取ると、そこにそっとキスを落とす。
その瞬間、大きな悲鳴が発生する。
…それもそのはずだ。スポットライトは当たったまま。…洸がナチュラル王子なのは分かっているし、もう1年近く付き合ってきて、過度なスキンシップにも慣れたあたしにとっては少し照れるくらいで済むことだけれど、世の女子高生たちにとっては悲鳴モノだろう。
「…どうして人前でこういうことを…。」
「雪姫の王子は僕ですってことをアピールしておこうかと思いまして。あと…。」
「…?」
洸はすっと立ち上がると、あたしの耳元に唇を寄せた。
「雪姫が今日は特別に可愛いので、つい。」
「…っ…ば、バカじゃないの!」
「僕はバカではなく、雪姫の可愛さには人一倍敏感なんですよ。」
「…だから、そういうのがバカなんだってば!」
「そうかもしれません。雪姫のせいです。責任取ってください。」
「は、はぁ!?」
「…これからもずっと、傍にいてくれるだけでいいですから。」
―――そしてあれから1年近くが経ち、今日は10月31日のハロウィン。
【リンゴをたらふく食べれたら】
「いよいよ始まりました!今年の○○祭後夜祭は仮装ダンスパーティー!
我々放送部が個人的に大注目しているカップルを大々的に取り上げますよぉ!
スポットライト係さんは我々の放送にちゃんとついてきてくださいね!」
「ラジャーっす!」
「ではでは大注目カップルナンバー1!あ、これは一番注目しているカップルってわけじゃないですよ?
とにもかくにも紹介が一番最初のカップル、3年の白星雪姫さん、神谷洸くんです!
もちろん仮装は白雪姫と王子様!」
パッとライトがあたしと洸を照らす。…ちょっと!普通に眩しすぎる!
「赤いリボンのついたカチューシャがとってもキュート!それに手に持っているのはリンゴ飴ですかね!?ナイス小物です!
それに王子様である洸くんもばっちり決まっています!さすがナチュラル王子様!」
…いちいち持ってるものまで突っ込まなくていいのに。リンゴ飴、好きなんだから仕方ないじゃない。
「雪姫、何を拗ねているんです?」
「拗ねてないっ!」
「そうですか?なら良いのですが。あ、リンゴ飴も雪姫のことも褒められましたね、今。」
「洸のことのほうがどう考えても褒められてるでしょ。ナチュラル王子様。」
「僕自身は自分をナチュラルに王子様だとは全く思っていませんがね。」
「思ってたら嫌だよ!」
「でも、雪姫の王子としてはナチュラルにありたいと思っていますけど。」
「っ…だから!そういうところがナチュラル王子なんだってば!」
そう言うと、洸はなぜかすっと跪いた。
そしてあたしの手を取ると、そこにそっとキスを落とす。
その瞬間、大きな悲鳴が発生する。
…それもそのはずだ。スポットライトは当たったまま。…洸がナチュラル王子なのは分かっているし、もう1年近く付き合ってきて、過度なスキンシップにも慣れたあたしにとっては少し照れるくらいで済むことだけれど、世の女子高生たちにとっては悲鳴モノだろう。
「…どうして人前でこういうことを…。」
「雪姫の王子は僕ですってことをアピールしておこうかと思いまして。あと…。」
「…?」
洸はすっと立ち上がると、あたしの耳元に唇を寄せた。
「雪姫が今日は特別に可愛いので、つい。」
「…っ…ば、バカじゃないの!」
「僕はバカではなく、雪姫の可愛さには人一倍敏感なんですよ。」
「…だから、そういうのがバカなんだってば!」
「そうかもしれません。雪姫のせいです。責任取ってください。」
「は、はぁ!?」
「…これからもずっと、傍にいてくれるだけでいいですから。」