お姫様の作り方
* * *
「あの、相馬先輩。」
「…ん?」
帰りがけ、背後から声を掛けられた。俺は帰宅部だが、美森のせいで何かと目立ってしまっている。
後ろにいたのは、焦げ茶色のボブの髪の女の子だ。俺を先輩と呼んだのだから後輩、つまりは1年生なのだろう。背は結構小さい。
「あの、…ちょっとお話、いいですか?」
「え、俺?」
なんとも間抜けな声が出た。これは…期待してもいい展開なのだろうか?
でも俺がそう思わざるを得ない程度に、彼女はほんのりと頬を染めている。幸い、美森はトイレに行っていて今はいない。(一緒に帰っているため、待っていたところだった)
「はい。あの、できれば美森先輩は…。」
…これは、ひょっとするとひょっとするんじゃないか?そんな期待に少しだけ胸が膨らむ。
「樹ー…お待たせー…ん?」
美森の視線が俺の後ろにいた彼女に注がれる。特に表情が大きく変わるわけでもなく、やっぱり少しぼんやりとした表情のままだ。
「どうしたの?帰ろう?」
「いや、なんか俺に話があるんだって。だから美森、先に帰っていいよ。」
「え?」
「だーから!美森は来なくていいよって話。じゃーな、気を付けて帰れよ。」
「…分かった。じゃーね、樹。」
くるりと背を向けた美森の黄金色の髪が揺れた。いつも見ているはずなのにどこか違って見えるのは、俺の心拍数が上がっているからだと思っている。
「あの、相馬先輩…いいんですか?」
「え、だって話があるんでしょ?」
「それはそう…ですけど…付き合ってるんじゃ…。」
「え、俺と美森が?」
そう問うと、彼女はこくこくと頷いた。
…こういう風にちょっと素早く動いたりしないなぁ、美森は。そこまで思って、頭の中に美森が浮かんで来た自分を少し責めた。目の前にいるのは美森じゃない。
「あの、相馬先輩。」
「…ん?」
帰りがけ、背後から声を掛けられた。俺は帰宅部だが、美森のせいで何かと目立ってしまっている。
後ろにいたのは、焦げ茶色のボブの髪の女の子だ。俺を先輩と呼んだのだから後輩、つまりは1年生なのだろう。背は結構小さい。
「あの、…ちょっとお話、いいですか?」
「え、俺?」
なんとも間抜けな声が出た。これは…期待してもいい展開なのだろうか?
でも俺がそう思わざるを得ない程度に、彼女はほんのりと頬を染めている。幸い、美森はトイレに行っていて今はいない。(一緒に帰っているため、待っていたところだった)
「はい。あの、できれば美森先輩は…。」
…これは、ひょっとするとひょっとするんじゃないか?そんな期待に少しだけ胸が膨らむ。
「樹ー…お待たせー…ん?」
美森の視線が俺の後ろにいた彼女に注がれる。特に表情が大きく変わるわけでもなく、やっぱり少しぼんやりとした表情のままだ。
「どうしたの?帰ろう?」
「いや、なんか俺に話があるんだって。だから美森、先に帰っていいよ。」
「え?」
「だーから!美森は来なくていいよって話。じゃーな、気を付けて帰れよ。」
「…分かった。じゃーね、樹。」
くるりと背を向けた美森の黄金色の髪が揺れた。いつも見ているはずなのにどこか違って見えるのは、俺の心拍数が上がっているからだと思っている。
「あの、相馬先輩…いいんですか?」
「え、だって話があるんでしょ?」
「それはそう…ですけど…付き合ってるんじゃ…。」
「え、俺と美森が?」
そう問うと、彼女はこくこくと頷いた。
…こういう風にちょっと素早く動いたりしないなぁ、美森は。そこまで思って、頭の中に美森が浮かんで来た自分を少し責めた。目の前にいるのは美森じゃない。