お姫様の作り方

＊　＊　＊


「「「「「彼女ができたー！？」」」」」

「おう。まぁ、俺の実力ならこんなもんだよ。」

「うぜぇー！樹のくせにうぜぇ！」

「樹のくせにってなんだ樹のくせにって！」


男友達は誰ひとりとして祝福してくれない。…俺って一体何なんだ？


「あれ、美森。珍しいね、クマとか。」

「んー…嫌な夢を見ちゃって…。」

「いつも夢みないって言ってなかったっけ？」

「いつも夢見るけど…幸せな夢しか見ないんだけど…嫌な夢見た…。」

「途中で起きたの？」

「うん…その後眠れなくなっちゃって。」

「うわーどんな夢よ、それ。」

「…あんまり覚えてない。」

「大丈夫、美森？」

「んー…眠い…。」


隣の席で女子に囲まれながらも目をこする美森が目に入る。…本当にクマなんかできてる。珍しい。


「美森、大丈夫か？」

「えー…大丈夫に見えないでしょ？」

「まぁ、見えないけど。何かあった？」

「…別に、何も。」


そう言って視線をすぐに俺から外す美森にやや違和感を感じながらも、その違和感の理由を探す前に現れた来客によって、俺の思考は止められた。


「おーい、樹。お客様だお客様！」


そこには彼女がいた。明らかにからかう気満々の友人どもの視線が痛い。