お姫様の作り方
「噂の彼女ー?めっちゃ可愛いじゃん。」

「樹ー!早くしろー!」

「わーってるよ。」


彼女の元へ行くと、彼女はまたほんのりと頬を染めていた。


「どした?」

「あのっ、お昼…一緒に食べませんか?」

「え、あ、も、もちろん。昼、迎えに行くよ。」

「は、はいっ!待ってます!」


にっこりと笑顔を浮かべて彼女はそう言った。その顔や、醸し出される雰囲気を、やっぱり俺は可愛いと思う。…好きになれそうだ。


「おーなになに?朝から見せつけてくるわけ?」

「いや、そんなんじゃねーけど。」

「つーかめちゃめちゃ可愛くね?あんなの1年にいた?」

「俺らのチェックミスだー!樹に取られるなんてー!」

「…ったくお前ら、朝からうるさい。」

「朝からいちゃいちゃしてんのは誰だよ!」

「してねぇだろ、別に。」


ふと、自分の席の隣を見やると美森が目に入った。…なんなんだ今日は、やけに美森が目につく。
と、そこまで考えて気付く。目につくのは、いつもより美森の頭の位置が高いからだ。つまり…美森は全然眠っていない。学校に来たらすぐに寝てしまうような人間なのに。


「どうした、樹。なんか顔変だぞ。」

「いや、別になんでもねぇよ。」

「今更美森が可愛いとか思い始めちゃった?」

「ま、美森ちゃんの可愛さに勝る女子なんてなかなかいねーけどな。ほら、我が校きっての2大プリンセスの一人なわけだし。
2-Bの白雪姫に2-Cの眠り姫。あ、で白雪の王子はAだっけ?」

「そうそう。」

「眠り姫の王子には…じゃあ俺が立候補しよっかなー。」

「やめとけやめとけー手がかかるぞー?」


流れていく会話をどう受け止めていけばよいか分からず、俺はただただ笑ってその場をやり過ごした。美森はやっぱり、眠らない。

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