お姫様の作り方
【her side】
顔は、上げられなかった。上げたく、なかった。
足音が遠ざかっていく。遠ざけたのは自分なのに悲しいだなんて、そんなのちょっとだけワガママだ。
「っ…うぅ…。」
情けない声が漏れた。でも、樹先輩の前でこんな声をあげずに済んだ自分を褒めてあげたい。我慢、できた…、自分を。
ピンと張りつめていた何かが切れて、私の足から力が抜けた。それと同時にゆっくりと膝から崩れ落ちる。
涙が後から後から零れ落ちる。
半分分かっていたことだった、こうなることは。それなのに…。
「美森先輩に勝てないって…分かってた…。」
分かってた。分かってたの、本当は。それでも好きになってしまった。
美森先輩に向ける優しい笑顔に憧れて。あの顔を向けてほしいと思ってしまった。
…思わなければ、こんなに苦しくなることもなかったのに。
だから、その苦しさを断ち切ってほしくて告白したのに、…それなのに。
樹先輩の言葉は自分が求めていたものと違っていて。
でも、…嬉しかったけど、やっぱり何か違うってすぐに気付いて。
樹先輩の優しさに憧れたのは本当だけど、私に与えられた優しさは残酷だった。
苦しいほどに残酷で、欲しかったけど欲しくないものだった。
「っく…う…んっ…。」
鼻をすすってもすすっても意味がない。顔なんてボロボロだ。
だからもう少しここで泣いてから帰ろう。
…誰にも会わないような時間に、一人で。
顔は、上げられなかった。上げたく、なかった。
足音が遠ざかっていく。遠ざけたのは自分なのに悲しいだなんて、そんなのちょっとだけワガママだ。
「っ…うぅ…。」
情けない声が漏れた。でも、樹先輩の前でこんな声をあげずに済んだ自分を褒めてあげたい。我慢、できた…、自分を。
ピンと張りつめていた何かが切れて、私の足から力が抜けた。それと同時にゆっくりと膝から崩れ落ちる。
涙が後から後から零れ落ちる。
半分分かっていたことだった、こうなることは。それなのに…。
「美森先輩に勝てないって…分かってた…。」
分かってた。分かってたの、本当は。それでも好きになってしまった。
美森先輩に向ける優しい笑顔に憧れて。あの顔を向けてほしいと思ってしまった。
…思わなければ、こんなに苦しくなることもなかったのに。
だから、その苦しさを断ち切ってほしくて告白したのに、…それなのに。
樹先輩の言葉は自分が求めていたものと違っていて。
でも、…嬉しかったけど、やっぱり何か違うってすぐに気付いて。
樹先輩の優しさに憧れたのは本当だけど、私に与えられた優しさは残酷だった。
苦しいほどに残酷で、欲しかったけど欲しくないものだった。
「っく…う…んっ…。」
鼻をすすってもすすっても意味がない。顔なんてボロボロだ。
だからもう少しここで泣いてから帰ろう。
…誰にも会わないような時間に、一人で。