お姫様の作り方
階段を下って、教室に戻るとそこにはたった一人、黄金色の髪を無造作に垂らして眠る〝お姫様〟がいた。
「美森。」
「……。」
声を掛けても何の反応も示さない。でも明らかに…。
「寝てねぇだろ、お前。俺には一目見りゃ分かるんだよ。」
「…彼女はどうしたの?」
「やっぱり起きてんじゃねーか。」
「…眠れないんだから仕方がないじゃない。」
「なんで眠れねーの?」
「…知らない。」
俺はゆっくりと美森の隣の席、つまりは自分の席に腰を下ろす。
電気の点いていない教室はなんだかもう少しずつ薄暗くなってきていた。
「質問に答えてよ。」
「彼女とは別れたんだよ。」
「は?」
「余計目が覚めたって顔だな、それ。」
「当たり前でしょ?何でいきなりそうなるの?」
「何でって…彼女から別れ話切りだされたんだからしゃーねぇだろ。」
「それではいって言ったの、樹。」
「まぁ、うん。」
「…好き…じゃなかった、の?」
美森の瞳が俺の瞳を捉えて離さない。真っすぐに、でもどこかぎこちなくそう問う美森にドクンと心臓が跳ねた。
「…好きになれないはずなんだよな、そもそも。」
「え?」
「だって彼女よりも先に好きな奴、いたわけだから。」
こうして目の前にすればよりはっきりと自覚できる。
…彼女のおかげだ、間違いなく。
「美森。」
「……。」
声を掛けても何の反応も示さない。でも明らかに…。
「寝てねぇだろ、お前。俺には一目見りゃ分かるんだよ。」
「…彼女はどうしたの?」
「やっぱり起きてんじゃねーか。」
「…眠れないんだから仕方がないじゃない。」
「なんで眠れねーの?」
「…知らない。」
俺はゆっくりと美森の隣の席、つまりは自分の席に腰を下ろす。
電気の点いていない教室はなんだかもう少しずつ薄暗くなってきていた。
「質問に答えてよ。」
「彼女とは別れたんだよ。」
「は?」
「余計目が覚めたって顔だな、それ。」
「当たり前でしょ?何でいきなりそうなるの?」
「何でって…彼女から別れ話切りだされたんだからしゃーねぇだろ。」
「それではいって言ったの、樹。」
「まぁ、うん。」
「…好き…じゃなかった、の?」
美森の瞳が俺の瞳を捉えて離さない。真っすぐに、でもどこかぎこちなくそう問う美森にドクンと心臓が跳ねた。
「…好きになれないはずなんだよな、そもそも。」
「え?」
「だって彼女よりも先に好きな奴、いたわけだから。」
こうして目の前にすればよりはっきりと自覚できる。
…彼女のおかげだ、間違いなく。