お姫様の作り方
「…今の、何?」

「何って、告白だけど、一応。」

「樹、あたしのこと好きなの?」

「だから、そう言ってんじゃん。」

「だって…全然そんな風には…聞こえない、…んだもん。」


美森の視線が下に落ちる。…そんなにしょげるなよやりにくい。
やっぱりちゃんと言ってやらないとだめ、か。


俺は膝の上に置かれた美森の両手に自分の両手を重ねた。その瞬間、美森がゆっくりと顔を上げる。


「…樹…?」

「好きだよ、美森のことが。」

「…ほんとに…?」

「嘘吐いてどうするんだよ。」

「だってあたし、ワガママだもん。」

「知ってるよ、んなことは。」

「治らないよ、この性格。」

「別にいいよ。振り回されんの、多分嫌いじゃねーし。」

「……。」

「何で黙んの。」

「…信じられないもん。勝手に離れていっていきなり戻ってきて好き…とか。」

「勝手なのは美森もだろ。いきなり避けるし、手は振り払われるし、泣くし。つーか美森はどうなんだよ。」

「…だって、寂しかったんだもん。」

「え…?」


急に拗ねた声になって、一度だけ肩が震えた。顔は俯いたままで表情はよく見えない。

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