お姫様の作り方
美森の部屋に久しぶりに入る。昔はしょっちゅう来ていたが、こうしてちゃんと入るのは本当に久しぶりだ。


「…綺麗にしてるんだな。」

「だって寝るだけだもん。」

「ですよねー。」


おもむろに制服を脱ぎ出す美森に俺は思わず待ったをかけた。


「おおおおおい!!!お前な、いきなり眼前で脱ぎだすなよ!驚くだろ!」

「え、だって別にパンツになってるわけでも…。」

「そういう問題じゃない!着替えるなら着替えるとか言えよ!」

「…もう。じゃあ着替えます。」

「俺、部屋出てる。」

「え、なんで?」

「…だから、俺も男なんだって。」

「だから、分かってるって。」

「…分かってねぇんだよお前。」


下は部屋着、上はまだ制服のままの美森を勢いのままにベッドに押し倒す。
美森の表情といえばぼんやりとしたまま、驚く様子もない。


「…樹…?」

「こういうこと、したくなるんだって。普通に。」

「…あたしとしたいってこと?」

「そう。」

「してもいいよ。あ、でも今日は眠いからまた今度でもいい?」

「は…い…?」

「だから、してもいいって。樹がしたいこと全部。あたしとしたいって思ってくれてるなら。…あたしも同じ、だから。
でも今日は眠いの。だからごめん。」

「っ…んだよそれ…。」

「あ、でも…ちゅーくらいなら…。」


そう言って美森がゆっくりと身体を起こした。
ちゅっと甘い音が静かな部屋に響いた。

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