お姫様の作り方

「…伝わってなさそうだから言うけど。」

「伝わってるよ！」

「いーや、これは伝わってないって。」

「陸くんは私に会いたいって思ってくれてるんでしょ？」

「そうだよ。」

「だから私嬉しいって…！」

「だから、その〝会いたい〟理由が問題だろ、ここでは？」

「え？」


…会いたい、理由？そこに何の問題があるのだろう？


「…今はそうかどうか分からないけど、でも俺は海央ちゃんを好きになる、気がする。もう今多分、その一歩手前くらい。」

「へっ？」


突然出た〝好き〟の言葉に思わず変な声が出た。
…好きって、…陸くんが、…私、を？


「で、誤解されたくないんだけど、これは別に海央ちゃんの失恋に付け込んでとか、俺が失恋したタイミングで海央ちゃんが優しくしてくれたからとかそういうんじゃないから。全然違うから。」

「えっと…ま、待って。ちょっと整理！」

「…どうぞ。」

「陸くん…が、私のこと…を…好き…？」

「…好きになる自信がある。多分もう結構好き。」

「な、なんでいきなりっ…。」

「いやまぁ…誤解されたくないとか言っておいてキッカケは失恋だけどさ。
…でも、こうして小さい頃からだいぶ経って、こうして会って話してってしてたら…なんだろうな、一緒にいる空気とか空間そのものに居心地の良さを感じちゃってさ。
海央ちゃんの泣いてるとこも可愛かったしね。」

「っ…か、可愛いわけないよあんな顔！」

「可愛かったよ。笑顔も…前よりもずっと可愛くなっててちょっと焦った。」


小さく笑った陸くんの笑顔に、胸が一度、大きく鳴った。