Helloween Night【短】
ドアをノックして部屋に入ると、振り返った虹ちゃんがフッと笑った。


薄いグリーンの生地と透明な生地で二重になっているワンピースに、四つに分かれた羽。


「妖精?」


「そうだよ!しかも、妖精のお姫様」


頭に乗せたティアラを指差すと、虹ちゃんがクッと笑った。


「可愛いよ」


「フフッ、ありがとう。虹ちゃんは嫌がりそうだから、これだけね♪」


「俺も?」


「うん、妖精の王子様」


虹ちゃんの頭に王冠を乗せると、彼が苦笑を零した。


「虹ちゃん、Trick or treat」


彼はテーブルに置いてあった小さなチョコを口に入れ、あたしの唇を塞いだ。


「知ってた?王子様って、結構意地悪だって」


「え?」





この後、妖精の二人がチョコレートよりも甘い夜を過ごしたのは、言うまでも無い――。





             END.


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