Helloween Night【短】
「あ〜、やる気出ねぇ」


「そんな事言ってないで、一文でも書いて下さい」


「無理」


「少しくらいやる気を見せて下さい」


「気分が乗らねぇんだから、仕方ねぇだろ」


「いい加減にして下さい」


そう言ったあたしを見つめる篠原に嫌な予感を抱きながらも、締切が明日に迫った今は原稿の為ならどんな要求でも飲むしか無い。


「お前、ちょっと仮装してみろ」


「は?」


「今、ハロウィンのシーン書いてるんだけど、どうも雰囲気が出ねぇから。ほら、今日はちょうどハロウィンだし」


呆れてため息をつくと、篠原がニヤリと笑った。


「猫、ヴァンパイア、女教師……どれがイイ?」


「先生……。最後は仮装ではなく、ただのコスプレです」


「よし、全部だな」


「ちょっ……!」





この後、雛子は原稿が出来上がってるとは知らず、龍司に仮装をさせられるのだった――。





             END.


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