紅蓮の星屑
男は少し笑顔を見せてから、真剣な表情を彼に見せる。
「そうでは無い、君にチャンスを与えたいと言っているのだ。」
益々、意味不明である。
怪訝そうな視線を送ると男は話を続けた。
「君の事を今調べさせて貰ったが、借金や税金未払いなど、かなり生活に困っているようだね……。しかも仕事にも就けていない。」
確かに借金はあるのだが、たいした額ではなかった。
それでも生活難である彼が払えずにいると、今ではブラックなCardと言う不名誉を世間から頂いていたのだ。
苦笑いしか出てこない。
「それで俺にどうしろと言うんだ? 解るように説明してもらえると助かるけど?」
男は射抜くように視線を向け、彼の質問に答え始めた。
「これから話す内容は、君の命が奪われる可能性があると言う事。そして、例え条件をクリアして生還したとしても、国へ仕えて貰らわなければならないと言う事。この二つの可能性を前提として話を聞いて貰いたいのだ。」
突拍子もない話に戸惑いを見せる。
それでも聞くしかないと判断した彼は、沈黙のまま頷いた。