紅蓮の星屑
男の話を纏めるとこうである。
約半年程前、森の中心部で巨大なエネルギー反応が確認された。
国のレーダーに現れた反応を確認する為に、自衛隊が直ぐさま現場に急行したのである。
すると、反応を示した場所で大剣を二本発見したのだ。
ところが、迂闊にも隊員が、その身の丈程もある大剣を素手で引き抜こうとした所、敢え無く死亡してしまった。
それから素手では危険と判断し、色々試したのだが、とても抜ける物ではなかったと言う。
そうこうしている内に、世界各国で同じようなエネルギー反応が大・中・小と起り、大きな物で七ツあると確認された。
その内の一つが、この日本で発見されたエネルギー体であったのだ。
同時に、ある国でその得体の知れないエネルギー体を手にした者がいた。
それは国の軍関係者では無く一般市民、それも女性であったと言うのだ。
力を手にした女性の証言では、軍が動くよりも前にその場所に導かれ、手に入れていたと言う。
そして約一ヶ月前、山を一つ吹き飛ばし、その女性は姿を消したらしい。
驚くべき力だと認識すると同時に、道明は、アーサー王の物語に出てくる選ばれし者が手に入れる物だと理解をした。
しかし、なんとも胡散臭い話である。
山を一つ消せる位の力が働いたのなら、ニュース等で大きく取り上げられる筈だ。
だが、そんなニュースを彼は見た覚えはなかったのである。