紅蓮の星屑
「胡散臭いな。そもそも、そのエネルギーの力で山が吹き飛んだなんて、俺には想像が出来ない。」
少し言葉を選び口にする。
「仮にそのファンタジーな話を鵜呑みにしたとしても、俺はただ自殺をしに来ただけだから、選ばれたかどうかも分からないだろ?」
男は足を組んだまま静かに話を聞いている。
「まぁ、そんな物騒な物が日本にあるなら国民の安全を考えて、藁にも掴む想いで話をしてくれたんだろうけど。」
それまで静観していた男は、急に話を切り出した。
「どちらにしても、君にとって悪い話ではない筈だ……。君が生き残れば、君の抱えている問題は全てこちらで解決しよう。しかし、死んだら死んだで君の願いは成就するのだ。……悪い話ではないだろう?」
確かにその通りであった。
話がデタラメであろうと、その二本の大剣を引き抜きさえすればいいのである。
元々生きる希望を失い、自殺をする予定であった道明にとって、これ程条件の良い話は無かった。
少し考える素振りを見せてから、道明は発言をした。
「分かった、その場所に向かおう……。」
その言葉を聞くと、男は眼鏡を中指で押し上げ、怪しく口元を緩めていた。