紅蓮の星屑
少し間を置いてから今泉は口を開いた。
「直ぐにでも始めたいと思うが、何かやり残した事はあるか? とは言うものの、此処で出来ることは限られるがな。」
と、哀れむように目線を向けられた。
恐らく何人もの死ぬ姿を見て来たのであろうその眼差しに、眼鏡の男が話していた事が本当なのではないだろうろか? と、冗談抜きに思いそうになる。
「最後に、食事を貰いたい。」
グキュゥゥ〜〜〜。
腹が鳴る。緊張感が台ナシであった。
今泉は少し微笑むと皆川に命令をする。
「彼に食事を!! 最後になるかも知れない。たらふく食べさせなさい!!」
「ハッ!!!」
皆川が敬礼をすると、食事の出来る場所まで道明を連れて行った。
それからテーブルに座り、10分もしない内に差し出された食事は、意外に思っていたよりも豪華であった。
ステーキ、ご飯、マッシュポテトや野菜、それとお酒。
道明は、幾らでも食べていいと皆川に言われたので、遠慮なく食べ始めた。
これが最後かも知れないと思った彼は、食べれるだけ胃に収めて行ったのである。