紅蓮の星屑

食事を済ませてからしばらくすると、今泉が近寄って来た。


「満足して貰えたかな?」


「ええ、有難うございました。まさか、こんな森の奥深くでステーキが食べれるとは思いませんでしたよ。」


道明は一瞬沈黙をしてから、今泉に向かって絞り出すように声を出す。


「……行きましょう。」


彼は覚悟を決め、大剣のある場所に向かう事にしたのだ。


それから今泉に連れられ、一際厳重に警備されている場所に到着する。


周りにある大きなライトとは違う強さの光が暗闇を照らしていた。


その光景を眺めながら見張りのいる門を抜ける。


すると、そこには話通りの白と黒の大剣が、大地に突き刺さっていたのである。


大地に突き立つ二本の大剣は、眩しい程の光を放ち、神秘的な雰囲気を漂わせていた。


それを目の当たりにした彼は、固唾を呑み込んだ。


これが巨大なエネルギー体なのかと驚くと同時に、身体全体にとてつもないプレッシャーを感じたのである。


「なんなんだ。この力は。ファンタジーな話の筈だろ? ……いや、現実に目の前に存在するんだ。ファンタジーな話ではないか。」


意図せず額から汗が溢れ出す。


不意に今泉が、竦み上がる彼に向けて言葉を掛けて来た。



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