紅蓮の星屑
ゼーターは続けて言葉を放つ。
「これより先は一万の敵がいると思われるが、全てを相手にする必要はない!」
敵を蹴散らしながら、聞き耳を立てるグナンの戦士達。
「一点突破の陣形『閃光の陣』で私をバーダー将軍の元へ導いて欲しい!! 必ず敵の要を打ち砕き、後続に控える我が国の戦士達に、勝利の道を切り開いて見せよう!!!」
ゼーターの周りで奮戦している仲間達が、次の言葉に期待を込めて注目する。
「我が勇敢なるグナンの戦士、そして戦友達よ!! この私に命を預けてくれーーー!!!」
その言葉を待っていたかのように、戦士達は近付く敵を払いながら戦場に雄叫びを響かせた。
――英雄ゼーター率いる英雄部隊『白影』<ビャクエイ>。総勢三百からなる少数部隊であるが個々の能力は極めて高い。
しかし、一万対三百では余りにも無謀であり、目的地に辿り着くまでにどれだけ生き残ることが出来るのか。普通なら止める事を考えるだろう。
だが数々の死線を共に乗り越え、奇跡とも言える勝利を英雄ゼーターと共に修めて来た強者達である。
しかも敵の要であるバーダー将軍が前線に出て来たのだ。これはチャンスと皆が皆確信している今。
英雄の言葉に応えない者が居る筈も無かった。
一軍から地鳴りの如く雄叫びが上がった。
「突撃ィィィィィィ!!!」