紅蓮の星屑

万の戦士達を前に怯む事なく、蜂の大群に矢を射るが如く掻き分ける。


腕を失い、腹に穴を空け、片目に光を無くしても、英雄部隊白影の戦士達は前進する力を失わなかった。


取り囲むザラの戦士達を薙ぎ払いながら前進する。


ゼーターを護る為に、先陣を切っていた仲間達の傷付く勇猛な姿を心に刻みながら、ようやく辿り着た。


漆黒の肌から、黒のオーラを放つ、巨大な存在が睨む。


「ゼーター将軍の戦いに水を差す者は全て、殲滅せよーーー!!!」


そう副将軍ガゼが吠える。


此処に辿り着くまで50近い戦士を失っていたが、50人ですんだのは流石とも言える。


白影の戦士達は二人の将軍を囲むように陣形をとると、押し寄せる敵を跳ね退け全て押し戻していた。


まさに台風の目となる、形となる。


「皆、有難う……。」


ゼーターが呟くと同時に一人の男に目を向けた。


全身から先程よりも力強い黒光を放つ戦士。


ザラ国の勇者バーダー将軍である。


「貴様が、英雄ゼーターか。噂通りのオーラを身に纏っているな、それにしても無茶をする……。」


バーダーはゆっくりと周りを見渡した。


「しかし、好都合だ。」


「悪いが、ここでお前を倒し! この戦争を終わらせて見せるッ!!」


両者大剣を構えるそれは――白と黒の大剣。



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