紅蓮の星屑

バーダーは、左右斜めと撃ち込まれる無数の斬撃を、並外れた感覚で受けながらも反撃を繰り返していた。


一見、戦闘に集中しているように見えるバーダー将軍ではあるが、実は内心怒りと焦りにその心は埋め尽くされていた。


それはゼーターとの勝負を焦り、前線に出て来た事と大きく関係していたのだ。


今まで彼はその並外れた戦闘能力で戦い明け暮れた結果、沢山の勝利を得て来た。


そして出陣した戦では常に先頭に立つ姿からか、何時しか勇者バーダーなどと呼ばれるまでになっていた。


勇者と言う称号には悪い気はしなかったが、実際バーダーはどうでも良いと思っていた。


只、自分の力を試すように戦闘が出来ればいいと思っていたからである。


しかし自分の地位が上がるにつれ、王宮に招かれる事が増え始めた。


それはバーダーにとって面倒な事でもあったが、嬉しい事もあった。


そこに、姫がいたからである。



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