出会ってしまったから




「幸」



兄が私を呼んだ




「え?」



「俺さ、ちょっと寄りたい所があるから、先帰ってて、あっ送ってもらえよ?」



「え、ちょっと」



兄は私の声も無視して、行ってしまった



私が追いかけようとしたら、高野先輩は私の手を離そうとしなかった



私はそこを動けなかった



「高野先輩、幸は私が送るから、帰ってください」



美優は、遊園地を出るとそう言った



「俺が送るよ」



高野先輩は手を離そうとしなかった



「高野先輩、幸が嫌がってるの分かりませんか?」



「分かってるよ、でも離さない、送るだけだ、何もしない」



「じゃあ、私もついて行きます」



「いいよ」



無言で私の家に帰った



私の家に着くと、高野先輩は手を離した



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