好き。
思えば、小さいときは周りの目なんか気にせずにバンバン抱きついてた。雄大先生の前でも、それこそ愛斗くんの前でも。
でも、さっき久しぶりに抱きついたとき―――。
がっしりとした“男の人”の体つき。
掴まれた腕からは、秋先生の細い指の温かさ。
おまけに見上げる程高くなった身長。
声変わりした、低めの声。
意識した途端、いろんなものが止まらなくなった。
急速に秋先生との年の差を感じてしまって。
なぜか自然と、口調も敬語になったりなんかして。
「そりゃ3年も離れてればな、」
「……」
「けど若葉も、随分と変わったじゃねぇか」
「え!?」
変わった?この私が!?
「髪伸びた、それと少し痩せた。飯食ってんのか?やっぱり様子見だけには来るようにしとけば良かったな」
「…っ、」
ポンポン、といつかのぬいぐるみのように。
先ほど意識したばかりの細い指が、私の髪を優しく撫でた。
「…はあ、黙って行って悪かった。それと、3年間こっちにも来れなかった。やっぱ医大っつーのは何かと大変だな」
「……元気、でしたか?」
「元気じゃなきゃ今ここにいねぇだろ。つか、それは俺の台詞な?若葉はまた体調悪化してるときが多かったみたいだな。さっきカルテ見てきたぞ」
「あ、」
「おまけに病院脱走計画もしたみたいで。本当、変わんねぇ」
「……っ」
嗚呼、思い出す。記憶がどんどん巡っていくみたいに。