好き。
研修医の秋先生。だけど昔からの付き合いがあってか、雄大先生直々に私の担当医候補者になっているようで。検診とか、そういうことも秋先生がやってくれるらしい。
「卑猥って考え方してる時点で、お前の方が邪な思考してるってバレバレじゃねぇかよ」
「なっ!そんなつもりじゃ、」
とは言ったものの、なぜかそれを否定できない私もいて。私って実は変態だったのかもしれないと悶々と悩む。
「…嘘だからさっさと服めくってくれ」
「え、嘘!?」
「…」
「わ、分かりましたから!睨まないでくださいよ」
鋭すぎる眼光。これは逆らうにも逆らえないと断念した私は、大人しく服をめくる。
「おい、もっとめくれ」
「こ、これが私の今の精一杯です!」
「ふざけんな、何今更恥ずかしがってんだ」
秋先生の言ってることはごもっとも。なぜなら私がめくった位置は、胸がしっかり隠れる位置までしかめくってない。これ以上めくることを体が拒否してる。
「…おい、いい加減にしろ」
「だ、だって恥ずかしい!」
これでも年頃の乙女、もとい女子高生にあたるわけで。目の前にいるイケメンな医者に貧相な体を晒すことがどれだけ恥ずかしいことか。考えただけでも、顔が真っ赤になりそうだった。ただでさえガリガリなのに、胸のサイズなんてBカップにもほど遠い。
「…薬増える、検診増える、自由時間減らす、今服めくってそれ全部免除。どれ選ぶ」
「え、え!?」
「じゅー、きゅー」
躊躇いを粉砕するかのように始まった恐怖のカウントダウン。薬が増える?いやいや!今ので十分参ってるっていうのにこれ以上増えたりしたら喉に詰まる。検診が増える?秋先生にこれ以上どこを見せればいいの!自由時間が減るなんてもってのほか!先生に会いにいけないのは絶対嫌!
よって自動的に決まった決断。
「…服めくります」
「よろしい」
こうなってしまう。