好き。
「え、」
大きな身長を、わざわざ私の小さな身長に合わせて腰をかがめ。
ポンポンと、優しく触れられたぬいぐるみたち。
「…可愛いな」
思いもよらない優しい言葉と、ふにゃりと笑った優しい表情。
時がピタリと止まったような。
ふわふわと、シャボン玉が浮いてるような。
そんな難しい感覚に、私の胸はゆらゆらと揺れたのを忘れません。
「…高代秋、よろしくな」
「っ、うん!」
きっとそれが、私と彼の始めて交わした温かい言葉。
――――それからしばらく経ち。
私は彼を「あーくん」と、
彼は私を「わか」という愛称で呼び合うようになり。
入院生活が暇で暇で仕方なかった私に、放課後毎日のように寄ってくれたあーくん。
今思えば、困らせるようなお願いばかりしていた気がします。
ごめんね、あーくん。