好き。
‐秋くんと私‐
――――それから5年後。
ガラッ
「秋くん!」
「……若葉は“成長”って言葉知らねぇだろ?」
「知ってるよ?それくらい」
私たちの関係は、何一つ変わっていなかった。
ただ、唯一変わったことと言えば。
私は“あーくん”から、「秋くん」に。
あーくんは“わか”から「若葉」に。
お互い、名前の呼び方が少し変化したくらいだった。
それともう一つ。
幼き頃の約束を守ってくれる為か、はたまた前からの夢だったのか。
見事医大に合格した秋くんは、今年の冬から県外に住むことが決定した。
それはもちろん、今までみたいに毎日通ってくれる、ということが叶わなくなることを意味してて。
ようやく中学2年生と同じ歳になった私だけど、学校になんて行ってないため話す友達もいなく。
これから今まで以上に暇な日が続くことは明白だった。
「秋くん、今日も学校のお話して」
「いや、俺あと卒業だけだし。つか学校もほとんど行ってねぇ」
「えー!もったいないなあ!!変わりに私が行ってあげよっか!」
「無理無理。お前まだ中学だろうが」
ニヤリ、馬鹿にしたように笑った秋くんに、私もニヤリと笑い返した。
「…なんだよ」
それが気に食わなかったのか、秋くんは途端に不機嫌そうな顔をする。