自己チューなアラサー転勤族主婦の妊娠日記
10月26日(金)

 夫は「どっちの選択をしても、全面的にサポートする」と言っていたのに、「子供できたら楽しいよ」と言う。

「オレがサポートするから」と。


 は? と思う。


「大阪で昼間誰もいないのに、どうやって産むの? 妊娠してお腹が大きくなって、昼に何かあったとき、すぐに仕事から帰って来てくれるの?」

「それは無理だけど、里帰り出産すれば大丈夫」



「実家にずっと置いておいて、勝手に産めってこと?」


「毎週末会いに行くよ」




「毎週末?? 飛行機代いくらかかると思ってるの?? 一回往復3万以上かかるのに? お金どうするの? 出産費用だってかかるのに? 子供産まれたらもっとお金かかるのに?」


「じゃあ、実家からお母さんに来てもらって、手伝ってもらおうよ」


「うちの実家、自営業なの知ってるよね? お母さん、仕事何か月も空けられると思うの?」




「だって中絶手術怖いんでしょ? どっちかしかないんだから仕方ないじゃん」




 腹立たしい。




「子供産まれた後は??」

「子育ては絶対手伝う」




「平日の昼間、仕事休んでしてくれるの? できないよね? 結局面倒見るのも、全部私じゃん! 大阪で部屋に閉じこもって子供の世話することの何が楽しいわけ?」


「……でも俺らの子供だし、絶対可愛いよ」




 私が自分勝手なのはわかっている。だけど、この先のことを考えたら不安でたまらない。

 楽観的な夫に腹が立つ。でもたぶん、夫は間違っていない。



 転勤族の夫を持ち、実家から遠く離れた土地に住んで、それでもしっかり子育てしている女性が沢山いるのは知っている。


 そんな人たちから見れば、私はただのわがままで、甘えているだけだろう。




 だけど、私は子供のために色々なことを我慢できるような立派な大人じゃない。


 週に二日は居酒屋に行きたい。

 寂しくなったらバイトがしたい。


 十年有効のパスポートを去年取得したばかり。まだまだ海外に行きたい。


 まだまだやりたいことがいっぱいある。






 怒鳴って、泣いて、食べて、吐いて。



 いつの間にか、顔に沢山のにきびが出来ている。




 大学生の頃、病院で治療したのに。



 自分のぶつぶつした顔が醜い。














































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