自己チューなアラサー転勤族主婦の妊娠日記
三日目
5月29日(水)
朝6時。
やっと、起床時間。
助産師さんが、大部屋の電気を付け、順番にベッドを回る。
……疲れた。
予期していた通り、向かいと斜め向かいの赤ちゃんが、泣いた。
交互だったり、同時だったり、どちらかの泣き声に反応したりで、熟睡どころか、仮眠もままならない。
そんな中、私も3時間毎に、「元」中の人を起こし、約1時間かけて授乳しなければならない。
胸はヒリヒリするし、お尻は痛いし、足も手もむくんでピリピリするし、もう疲れ果てて眠りたいのに、ぐっすり眠らせてもらえず、イライラしすぎて泣きそうになる。
こんな精神状態で人間の赤ちゃんの大きな泣き声を聞くと、めちゃくちゃ神経に障る。
もっと、「ミャー」とか「キャン」とか小さくて可愛らしく泣いてくれれば、(赤ちゃん産んでもいいな)と思う人も増えるんじゃないだろうか。
そしたら、少子化問題も解決だ。
とか、
もし、里帰り出産ではなく、大阪の個人病院で生んでいたら、可愛いお部屋に入院し、夜も夫と一緒にいられて、食事はフレンチを食べて、夜間は新生児室で預かってもらって、ぐっすり快適に眠れていたんだろうな。
とか、
私は病気ではないのに、どうしてこんな部屋に閉じ込められて、助産師さんに監視されなくちゃならないんだろう。
とか、
耳を塞ぎながら、しょうもないことをつらつら考えて、夜を明かした。
「もしもし~、おはよ~」
向かいのベッドの人が、ひそひそ電話している。
おそらく相手は旦那さん。
「あ~と二日~♪」
彼女は経産婦さんで、面会時間中、2~3歳くらいの男の子が、旦那さんと一緒に来ていた。
初産婦は6日間の入院を強いられるが、経産婦は5日間で退院出来る。
あと二日ってことは、今日と明日で退院だろうか。
……羨ましい。
例えばこの入院が、「1日につき1万円で、退院を早められます」という、保釈金的なシステムなら、とりあえず今日の午後8時までは我慢して、木、金、土の、あと3日分、つまり3万円を、喜んで支払って退院するのに。
と、また、変なことを考えてしまう。
全身の疲労と、痛みと、寝不足で、なんか、もう、わけがわからない。
経産婦さんの彼女は、さすがに余裕があり、夜中赤ちゃんが泣いても、しばらく放置する。
今日の午前2時頃は、数日の入院生活で疲れがピークに達したのか、泣き止まない赤ちゃんの隣で爆睡(おそらく)していた。
すると、扉が開いて……
「~さん、大丈夫?」
助産師さん、現る。
赤ちゃんの泣き声が止む。
「~さん、見せてもらった記録用紙だと、今授乳の時間だよね」と助産師さん。
「今、やっているところです」と経産婦さん。
「そう。眠いだろうけど、頑張ってね」と助産師さん。
ついでに私たちのベッドも見回り、寝たふりしている私の記録用紙もしっかり確認して帰っていった。
とても緊張した。
私は、経産婦さんの肝の座りっぷりを(すごいな)と感心し、(小心者の私にはできないな)と羨ましく思いながら、(絶対に授乳時間は寝ちゃダメだ)と、神経質に次の授乳時間を再確認した。
その後、私も授乳を終え、珍しく部屋が静かになり、意識を失うように眠りについたら、助産師さんが部屋に入ってくる夢を2度も見た。
どれだけ小心者なのだ、と情けない。
その一方で、私は何か悪いことでもしたのだろうか?と、威圧的(勝手な私個人の感想)な助産師さんたちに憤慨する。
「S(私の苗字)さん、おはよう」
助産師さんがカーテンを開け、入ってくる。
「どう? しっかり眠れた?」
(この状況で、眠れるわけないじゃん!)
と、思いつつ、
「あんまり眠れませんでした」と、好意的な苦笑いのダメな自分。
助産師さんが記録用紙をチェック。
緊張。
「赤ちゃん、ミルクの量がちょっと少なすぎるね」
眉を寄せる助産師さん。
びくりとなる。
ああ、もう、本当に嫌だ。
朝6時。
やっと、起床時間。
助産師さんが、大部屋の電気を付け、順番にベッドを回る。
……疲れた。
予期していた通り、向かいと斜め向かいの赤ちゃんが、泣いた。
交互だったり、同時だったり、どちらかの泣き声に反応したりで、熟睡どころか、仮眠もままならない。
そんな中、私も3時間毎に、「元」中の人を起こし、約1時間かけて授乳しなければならない。
胸はヒリヒリするし、お尻は痛いし、足も手もむくんでピリピリするし、もう疲れ果てて眠りたいのに、ぐっすり眠らせてもらえず、イライラしすぎて泣きそうになる。
こんな精神状態で人間の赤ちゃんの大きな泣き声を聞くと、めちゃくちゃ神経に障る。
もっと、「ミャー」とか「キャン」とか小さくて可愛らしく泣いてくれれば、(赤ちゃん産んでもいいな)と思う人も増えるんじゃないだろうか。
そしたら、少子化問題も解決だ。
とか、
もし、里帰り出産ではなく、大阪の個人病院で生んでいたら、可愛いお部屋に入院し、夜も夫と一緒にいられて、食事はフレンチを食べて、夜間は新生児室で預かってもらって、ぐっすり快適に眠れていたんだろうな。
とか、
私は病気ではないのに、どうしてこんな部屋に閉じ込められて、助産師さんに監視されなくちゃならないんだろう。
とか、
耳を塞ぎながら、しょうもないことをつらつら考えて、夜を明かした。
「もしもし~、おはよ~」
向かいのベッドの人が、ひそひそ電話している。
おそらく相手は旦那さん。
「あ~と二日~♪」
彼女は経産婦さんで、面会時間中、2~3歳くらいの男の子が、旦那さんと一緒に来ていた。
初産婦は6日間の入院を強いられるが、経産婦は5日間で退院出来る。
あと二日ってことは、今日と明日で退院だろうか。
……羨ましい。
例えばこの入院が、「1日につき1万円で、退院を早められます」という、保釈金的なシステムなら、とりあえず今日の午後8時までは我慢して、木、金、土の、あと3日分、つまり3万円を、喜んで支払って退院するのに。
と、また、変なことを考えてしまう。
全身の疲労と、痛みと、寝不足で、なんか、もう、わけがわからない。
経産婦さんの彼女は、さすがに余裕があり、夜中赤ちゃんが泣いても、しばらく放置する。
今日の午前2時頃は、数日の入院生活で疲れがピークに達したのか、泣き止まない赤ちゃんの隣で爆睡(おそらく)していた。
すると、扉が開いて……
「~さん、大丈夫?」
助産師さん、現る。
赤ちゃんの泣き声が止む。
「~さん、見せてもらった記録用紙だと、今授乳の時間だよね」と助産師さん。
「今、やっているところです」と経産婦さん。
「そう。眠いだろうけど、頑張ってね」と助産師さん。
ついでに私たちのベッドも見回り、寝たふりしている私の記録用紙もしっかり確認して帰っていった。
とても緊張した。
私は、経産婦さんの肝の座りっぷりを(すごいな)と感心し、(小心者の私にはできないな)と羨ましく思いながら、(絶対に授乳時間は寝ちゃダメだ)と、神経質に次の授乳時間を再確認した。
その後、私も授乳を終え、珍しく部屋が静かになり、意識を失うように眠りについたら、助産師さんが部屋に入ってくる夢を2度も見た。
どれだけ小心者なのだ、と情けない。
その一方で、私は何か悪いことでもしたのだろうか?と、威圧的(勝手な私個人の感想)な助産師さんたちに憤慨する。
「S(私の苗字)さん、おはよう」
助産師さんがカーテンを開け、入ってくる。
「どう? しっかり眠れた?」
(この状況で、眠れるわけないじゃん!)
と、思いつつ、
「あんまり眠れませんでした」と、好意的な苦笑いのダメな自分。
助産師さんが記録用紙をチェック。
緊張。
「赤ちゃん、ミルクの量がちょっと少なすぎるね」
眉を寄せる助産師さん。
びくりとなる。
ああ、もう、本当に嫌だ。