自己チューなアラサー転勤族主婦の妊娠日記
5月30日(木) その6
バースプランのアンケートが、助産師さんの手に渡ってしまった。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
心臓のバクバクが、どんどん激しくなる。
夫に電話するが、繋がらない。
どうしよう。
どうしよう。
オロオロして、居ても立ってもいられず、ベッドを降りて部屋中を行ったり来たりした。
そんな中。
トントン。
ドアがノックされ、ビクリとする。
「こんにちは~」
看護学生さんだった。
心底ホッ。
「昨日お話していた沐浴体験の許可が出たので、15時くらいからやりましょうか」
彼女は暇な私のために、ベビー人形を使っての沐浴体験を提案してくれた。わざわざ看護学校で使用している赤ちゃんの人形を持ってきて、病院に許可も取ってくれたのだ。
実習とは言え、本当に良くしてくれる。
彼女と話していると、不安が少し和らいだ。
トントン。
学生さんとの対話中、またドアがノックされ、笑顔で「はい」と応える。
「S(私の苗字)さん、ちょっといいかな」
今まで見たことのない、かなり年配の助産師さん。
ドキリとする。
今度こそ本当に、嫌な予感。
助産師さんが手にしている書類の中に、バースプランのアンケートがチラリと見えた。
やっぱり。
全身に緊張が走る。
この後の展開を予想し、気を引き締めた。
「体調はどう?」と助産師さん。
「はい、ええと」
なるべく冷静に言葉も選びながら、むくみや出血等を説明する。
続いて、授乳の記録用紙を眺めながら、母乳やミルクの量の質問。
蔑まれないようにと、いつもよりしっかり、丁寧に答えた。
とは言え、ここまでは、いつもどおり。
「それから、これをお返ししますね」
出産前に書いた書類の控えをもらう。
「あと、それから……バースプランのアンケートなんだけど」
来た!
思わず拳を握る。
私の書いたアンケートを眺め、「分娩に、ちょっと不満が残ったのかな?」と質問。
「会陰切開は、したくなかったので」と説明。
絶対にしたくなかった。
今だって、会陰切開と言葉にした途端、泣きたくなった。
満足度が下がったって仕方ない。
うんうん、と頷く助産師さん。
「会陰切開はね、先生が切っちゃうんだよね。本当のことを言うと、私たちも、これなら切らないでいける!って思うことがあるんだけど、先生が切るって判断しちゃうとどうしようもないんだよね」
そうなのか。と思う。
同時に、やっぱり私の場合、切らなくても良かったんじゃないかと、怒りもこみ上がる。
「それから……、助産師についての欄だけど」
「はい」
低い声で、しっかり返事をした。
何か言われても、ちゃんと言い返す! と、密かに決意。
アンケートは見られてしまったのだ。
なら、覚悟を決めなきゃ。
ここには私しかいないのだ!
でも。
「これは酷いね。ごめんなさいね。辛い思いをさせてしまったね」
「……いえ」
「普段はそういう人じゃないんだけど、哺乳量測定に囚われて、他が見えていなかったんだと思います。本当にごめんなさいね。辛かったね」
「……はい、大丈夫です」
結局、私はあっけなく、年配の助産師さんに言いくるめられてしまった。
しかも、『辛かったね』の一言で、ちょっと泣いてしまった。
情けない。
そして……
「赤ちゃんね、体重はちょっとずつ増えているけど、増え方が少ないの。もし、おっぱい飲むと疲れてミルクが飲めなくなるなら、時間短縮のために搾乳して哺乳瓶で母乳を与える方法に変えたほうがいいかもしれない。とりあえず、哺乳量測定しようか」
また、哺乳量測定。。
胸の辺りがグッと締まって、吐き気がした。
やりたくない。
ホント、吐きそう。
もう、完全ミルクでいいじゃん。
バースプランのアンケートが、助産師さんの手に渡ってしまった。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
心臓のバクバクが、どんどん激しくなる。
夫に電話するが、繋がらない。
どうしよう。
どうしよう。
オロオロして、居ても立ってもいられず、ベッドを降りて部屋中を行ったり来たりした。
そんな中。
トントン。
ドアがノックされ、ビクリとする。
「こんにちは~」
看護学生さんだった。
心底ホッ。
「昨日お話していた沐浴体験の許可が出たので、15時くらいからやりましょうか」
彼女は暇な私のために、ベビー人形を使っての沐浴体験を提案してくれた。わざわざ看護学校で使用している赤ちゃんの人形を持ってきて、病院に許可も取ってくれたのだ。
実習とは言え、本当に良くしてくれる。
彼女と話していると、不安が少し和らいだ。
トントン。
学生さんとの対話中、またドアがノックされ、笑顔で「はい」と応える。
「S(私の苗字)さん、ちょっといいかな」
今まで見たことのない、かなり年配の助産師さん。
ドキリとする。
今度こそ本当に、嫌な予感。
助産師さんが手にしている書類の中に、バースプランのアンケートがチラリと見えた。
やっぱり。
全身に緊張が走る。
この後の展開を予想し、気を引き締めた。
「体調はどう?」と助産師さん。
「はい、ええと」
なるべく冷静に言葉も選びながら、むくみや出血等を説明する。
続いて、授乳の記録用紙を眺めながら、母乳やミルクの量の質問。
蔑まれないようにと、いつもよりしっかり、丁寧に答えた。
とは言え、ここまでは、いつもどおり。
「それから、これをお返ししますね」
出産前に書いた書類の控えをもらう。
「あと、それから……バースプランのアンケートなんだけど」
来た!
思わず拳を握る。
私の書いたアンケートを眺め、「分娩に、ちょっと不満が残ったのかな?」と質問。
「会陰切開は、したくなかったので」と説明。
絶対にしたくなかった。
今だって、会陰切開と言葉にした途端、泣きたくなった。
満足度が下がったって仕方ない。
うんうん、と頷く助産師さん。
「会陰切開はね、先生が切っちゃうんだよね。本当のことを言うと、私たちも、これなら切らないでいける!って思うことがあるんだけど、先生が切るって判断しちゃうとどうしようもないんだよね」
そうなのか。と思う。
同時に、やっぱり私の場合、切らなくても良かったんじゃないかと、怒りもこみ上がる。
「それから……、助産師についての欄だけど」
「はい」
低い声で、しっかり返事をした。
何か言われても、ちゃんと言い返す! と、密かに決意。
アンケートは見られてしまったのだ。
なら、覚悟を決めなきゃ。
ここには私しかいないのだ!
でも。
「これは酷いね。ごめんなさいね。辛い思いをさせてしまったね」
「……いえ」
「普段はそういう人じゃないんだけど、哺乳量測定に囚われて、他が見えていなかったんだと思います。本当にごめんなさいね。辛かったね」
「……はい、大丈夫です」
結局、私はあっけなく、年配の助産師さんに言いくるめられてしまった。
しかも、『辛かったね』の一言で、ちょっと泣いてしまった。
情けない。
そして……
「赤ちゃんね、体重はちょっとずつ増えているけど、増え方が少ないの。もし、おっぱい飲むと疲れてミルクが飲めなくなるなら、時間短縮のために搾乳して哺乳瓶で母乳を与える方法に変えたほうがいいかもしれない。とりあえず、哺乳量測定しようか」
また、哺乳量測定。。
胸の辺りがグッと締まって、吐き気がした。
やりたくない。
ホント、吐きそう。
もう、完全ミルクでいいじゃん。