自己チューなアラサー転勤族主婦の妊娠日記

小児診察

6月1日(土)


 午前6時。起床時間。


 やっと夜が明けた。

 母乳を絞りまくっていたら、めちゃくちゃお腹が空いた。




 午前7時半。

 待ちに待った朝食。



 10分で完食。




 蓮のオムツを取り替える。

 残念ながら、今日も快腸。



 最後の授乳にかかる。


「頑張れ」と応援したけれど、母乳40ml+ミルク20ml。




 蓮を保育室へ預け、個室に戻って荷物を片付ける。

 結果が出るまで、しばらく仮眠を取った。





『S(私の苗字)さん、赤ちゃんの沐浴が終わったので、保育室へ来て下さい』

 ナースコールの会話口からアナウンスがあり、ドキドキしながら保育室へ向かう。




 保育室には、助産師さんと女医さんがいた。


「赤ちゃんの体重、2288gに増えたよ。2300gには届かなかったけど、今から小児診察して異常がなければ、お母さんと一緒に退院できるよ」



 


 …………





 やった~~~~~~!







 嬉しすぎる!!

 半端ない達成感!!







 女医さんが、蓮を裸にして診察を行う。

「うん。大丈夫ですね」

「ありがとうございました」








 個室に戻る。


「おめでとう! よく頑張ったね」


 蓮を壊れない程度に、ギュッと抱きしめた。







 12:00

 入院生活最後の昼食だ。




 テレビをつける。

『世界ふしぎ発見』が放送されていた。


 内容は……






 アンコールワット!!







「蓮! ほら、見てごらん」


 興奮して、カートごとテレビの方へ向ける。


 蓮は、すやすやと眠りこけていた。





 去年の10月、夫と二人でアンコールワットの朝日を見た。

 池の真ん中で、蓮の花が綺麗に咲いていた。






 それが、蓮のルーツ。

 



 あの日、私のお腹に小さな命が宿っているなんて、夢にも思わなかった。


 あれから、色々あった。



 本当に、色々あった。


 沢山迷った。

 沢山、泣いた。




 眠ったままの蓮の頭を、そっと撫でる。




 たぶん、今日からが本当の子育て。

 弱い私は、きっと何度も泣くんだろうな。



 未だに、母親の実感も湧いていない。



 それでも、とにかく。





 頑張ってみよう!



 ……と、思う。









                                              終わり









 ちなみに



「退院時間は13:00~16:00の間だけど、大体何時頃にする?」

 と助産師さんに尋ねられた私は、せっかくなので三時のおやつを食べた後に帰ろうと

「15:30頃にします」と応え、両親にもその時間に迎えに来るようメールを入れた。
 




 午後1時過ぎ。


「14:00に哺乳量のチェックするから」と助産師さんに告げられる。




 助産師さんがいなくなった後、私は即座に電話をかけ「すぐ迎えに来て!」と、両親にSOSした。





 そして。

(こんな場面、前に見たな)と思いながら、


 午後2時過ぎ。


 私は、逃げるように退院したのだった。





 




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