自己チューなアラサー転勤族主婦の妊娠日記
11月29日(木)

 妊婦健診の日。朝から気が重い。

 でも、行かなければならない。



 今日は、エコーのほかに血液検査と指導がある。


 綺麗な女優さんも同じ検査をしているんだ、と考えて自分を奮い立たせた。

 胎児は5センチになっていた。前回までは心臓しか動いていなかったのに、今日見たら、手足が何度もぴくぴくと動いていた。


 何か、不思議な気分だった。でも、それだけ。


 出産予定日は変わらず6月15日。



 最後に看護士さんから、今後の説明を聞いた。



「これから安定期に入ると、炭水化物が全てコレステロールに代わって、脂肪が付きやすい身体になります」

「これまでは、つわりやホルモンの影響で太らなかったけど、細い人ほど太りやすいから気を付けて。一日に1kg太る妊婦さんもいるから」



 すごくすごく怖い。



 最近、ずっとパンを食べていた。夫がケーキをよく買ってきてくれて、頑張っている褒美にと食べていた。



 全部やめよう。


 太りたくない。絶対に!!


 看護士さんは「太っても子供を産んだ後は、ホルモンがまた通常に戻るから大丈夫」と言っていたけど、妊娠出産後、体重が戻らず太ったままの女の人はいっぱいいる。


 太って醜くなるなんて、絶対に嫌だ。



 なんで。

 なんで私ばかり。ついそう思ってしまう。




 そういえば、友人Sとの会話で

「中絶する選択肢はなかったの?」

 と聞かれた。


 確かに、私がもし友人Sの立場だったら、「そんなに嫌だと思っていたなら、中絶すればよかったのに」と思う。


 だけど、実際はそんなに簡単なものじゃなかった。


 あの気持ちだけは、本人でなければわからない。




 中絶を選択するにも、大きな勇気がいるのだ。


 きっと中絶した人には、した人の辛さがある。




 この妊娠で分かったこと。

 私が中絶に対して抱いていた意識には、偏見があった。


 こんなことがなければ、一生気が付かなかったと思う。














 








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