自己チューなアラサー転勤族主婦の妊娠日記
つわり

10月

10月21日(日)

 昨日友人Mに電話をしたおかげで、随分気持ちが前向きになっている。


 夫は「アンコールワットの朝日を浴びた子供だから、きっと大物になる」と言った。

 私もそうかもしれないと思い、可愛かったら芸能界に入れよう等と思う。




「でも、今回のは全部オレの失敗だから、産んでも産まなくてもどっちでもいいよ」と夫は言ってくれる。



 相変わらず数十分に一回、吐き気がある。感染症ではなく、つわりだった。


「オレのせいだから、精一杯看病するしサポートする」と夫は献身的。



 まだ迷っているものの、とりあえず二人で「たまひよ」を買いに行く。

 帰りにスーパーによった。食料品を見た瞬間、酷い吐き気に襲われた。

 食品の匂いが胃を刺激する。食品を見るだけで気分が悪くなる。


 急いでスーパーから外に飛び出し、近くのトイレへ駆け込んだ。


 こんなこと初めてだ。苦しい。




 やっとのことで家に戻る。二人で買ってきた雑誌を眺めた。







 深夜、酷い吐き気で起きる。トイレへ。暗い部屋の中で突然不安になった。


 出産すると言うことは、産まれた子供を誰もいない大阪で一人育てると言うことだ。実家は北東北。母の助けは期待できない。

 夫は協力すると言っているけれど、朝から夜遅くまで仕事がある。必然的に私しかいない。身内も知り合いもいない大阪で。

 大阪でなんとかやってこれたのは、時々、気晴らしにイベコンのアルバイトをしていたから。夫と夜に居酒屋に行く楽しみがあったから。寂しい時は、二時間以上のウォーキングをして過ごした。

 それでも馴染むのに一年以上かかった。




 なのに、それが、全てできなくなる。



 育てられるはずがない。



 とても怖くなって、泣いた。












 
< 5 / 248 >

この作品をシェア

pagetop