愛しの黒ライオン
『それじゃ...又来ます』
獅子さんを背にし道路に足を踏み出した。
『俺が送りたいと思ったんだ。お前の意見なんて聞いてねえ』
獅子さんは、ダラリと両脇に垂らしている私の左手を掴むと前を歩き出した。
《お前の意見なんて聞いてない》嬉しかった、凄く嬉しかった。
「獅子さん、ありがとう...」
聞えない程度の声でお礼を言った。
「何か言ったか?」
顔を下に向けたまま顔ブンブンと横に振り手を掴まれたまま獅子さんの後ろを歩いた。