愛しの黒ライオン



獅子さんの手は、とても優しかった。手から温かい脈がトクントクンと伝わって来て、ずっと繋いでいたいくらい。

獅子さんの家から駅に着くまでの数分、何も話さなかったけど手を繋いでいるだけで何かが伝わってくるように思えた。

ずっと離したくない温もり。


っ痛...


獅子さんが突然止まるから背中に鼻先をぶつけ鼻を押えながら止まった獅子さんの背中を見つめる。

『あ、あの...』
『やっぱりカラオケ行くぞ』

獅子さんは、私の有無も聞かずカラダをクルっと反転させ元来た道を戻ろうとする。


『ま、待って下さい帰ります』

引っ張られた手をくっと引っ張り






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