愛しの黒ライオン
「牡丹ちゃん、何か歌わないの?」
風斗さんは香織さんを挟みながら声をかけて来た。カラオケは嫌いじゃないけど、どちらかと言うと聞く方が得かもしれない。
昔、友達に言われた事があるの『歌わないのなら、どうしてカラオケが好きなの』って。
歌を歌うとか、歌わないとかそんな事は、どうでもよかった。カラオケに来て皆と盛り上がる場の雰囲気が好きなんだ。
「あ、私は、いいです...どうぞ歌ってください」