愛しの黒ライオン



「あ、あの...」

獅子さんは、掴んでいる手をピクっと動かしだけで、ずっと流れる景色を見つめたまま返事を返してくれ無い。


もう一度、軽くため息を吐くと獅子さんの目に映る景色を一緒に眺(なが)めた。


「久しぶりに電車に乗った気がする」

ボソっと獅子さんが呟いた。

懐かしいような...そんな顔している。


「...そんなに乗ってなかったんですか?」



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