愛しの黒ライオン
「あぁ、もういっぺん言ってみろよ」
「何回でも言うよ、お前なんかクソくらえ」
男は、持っていた財布を足元に落とすと片手を上に向け思いっきり振り下ろした。
私は、目をきゅっと閉じ身を構えながら振り下ろされる痛みを堪える。
耳の奥にバチンと鳴り響く鈍い音。カラダは左へ飛ぶと壁に頭がぶつかり私の記憶は飛んだ。
【この辺は変な奴が多いから気をつけろ】
あの人の言葉だけが脳裏に浮かぶ――...。