愛しの黒ライオン


タンスは、寝ている部屋には置いてない。大きな桐ダンスだから。


この桐ダンスは母さんの形見。

凄く大切にしていたタンス。


他にもタンスはあったけど『このタンスだけは特別』そう優しい顔をして言ってた。


特別?


その時の私は、タダ大切なんだなって事しか分からなかった。



「牡丹ちゃん、この騒ぎはどうしたんだい?」


パジャマから服に袖を通しタンスを見つめていると仕事に行ったと思っていた叔父さんが部屋に顔を出した。

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