愛しの黒ライオン




獅子さんは、私の手を優しく引っ張り頭をクシャっと触れて胸の中に抱き締めるから心臓が飛び跳ねた。


「一気に大人にならなくてもいい、少しずつ分かればいんだ」


雨の中、獅子さんの心臓の音と、優しい声だけが耳の奥深い所に響いた。


獅子さん...どうして、そんなに優しいの


このままだと、私の心臓は張り裂けて苦しくなっちゃうよ。


「帰ろう、牡丹」


抱き締められたままコクリと頷き顔を上に向けた。




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