愛しの黒ライオン




「牡丹、このキャリーケースは?」


手をつかまれたまま、獅子さんを見上げる。

「まさか...」
「そのまさかです...」

獅子さんは私の手を掴み直して

「...帰るぞ」

え?そんなのイヤ。せっかく家から必要なものを苦労して持って来たのに


それに手紙も置いてきた、今更帰れなんて言われても帰らない。




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