愛しの黒ライオン
「叔父さんは、中に入るのか?」
「いないよ、朝6時頃事務所へ行ったよ、昨日の事もあるみたいだったし...」
ちょっとだけ胸の奥の方が、こそばゆかった。
どうしてなのか分からないけど...
母さんを愛して止まなかった叔父さんは、どんな気持ちで今まで過ごしていたんだろうって。
「それじゃ、行くぞ」
私は、家の端に停めていた獅子さんの車の助手席に乗り込み住んでいた家に手を振ると心の中でさよならと呟いた。