愛しの黒ライオン


どうしよう。指が熱くて顔から火が出そう。獅子さんの目は、指を見ているようで私をじっと見つめてる。


・・・胸が張り裂けそうだよ。


「や、止めて下さい、そんな事したら...苦しい」


「ちょっと待っとけ」


口の中に入っていた指がようやく出てくると獅子さんは、食器棚の一番上から救急箱を取り出し


「そこの椅子に座れ」そう言って背中をポンと叩かれ、たどたどしい足取りで目の前にある椅子に座った。


「指を出せ」


獅子さんは、膝を落とし切れた指先をつかむと絆創膏を指に巻く。


「これから仕事中ずっとポケットに絆創膏を入れとかないとダメだな」


巻き終わると獅子さんは、指を持ったまま離さない。


「あ、あの...離してください」
「そんなに俺の事がキライなのか?」


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