愛しの黒ライオン
「あの...どうして、そんな事言うの?」
急に、そんな事言われて上目遣いに見つめられたら違った意味で心臓が止まりそうになる。
「嫌って...」
それ以上、言う言葉が見つからない。
「俺は、お前を気に入ってる」
「わ、割れたグラス片付けますね」
掴まれた指を離し座っている椅子から立ち上がり割れたグラスを箒で拾い集め新聞紙に包むとビニール袋の中に入れた。
「あ、あの...何処に捨てれば?」
テーブルの側に居るはずだと思っていた獅子さんは、振り向くと目の前に立っていた。
「IHの横に置いておけばいい、明日片付けるから」
恥ずかしくて苦しくて獅子さんを直視できなかった。